ジャギエルカは電気羊の夢をみるか?

ホーリーホックとスワローズ

【今更】第1節モンテディオ山形戦を振り返る

6試合を終えて勝ち点11で3位とスタートダッシュに成功している水戸ホーリーホック。その良い流れを作った要因である開幕戦・モンテディオ山形との試合を(DAZNの見逃し配信がそろそろ見れなくなりそうだったので)振り返り、今シーズンのホーリーホックの戦い方を分析してみたいと思います。

 

スタメンは以下の通り。

ホームの水戸は4-4-2。対するアウェイの山形は4-3-3の配置でスタートします。

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・ハイプレス

山形のキックオフで始まるも直後の相手のキックミスによりスローインを得ると、新外国人のバイアーノの推進力と前線へのロングボールを使って山形を相手陣地深くまで押し込んでいきます。

 

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この場面では右SBの浜崎・2トップの岸本とバイアーノ・右MFの黒川がボールを奪われてすぐにプレスをかけています。

自陣でボールを奪ったら縦に素早く展開し、ボールを奪われたら敵陣でのハイプレスで即時奪回という狙いが見えました。

そしてこのプレスによってコーナーキックを得ます。

木村がニアをめがけて蹴り、ファーから走りこんだ岸本がフリック、バイアーノがそのボールに反応し、開始1分での先制に成功します。その後にあったコーナーキックでもニアにボールを送り同じような形を作ろうとしていたので、ある程度狙っていたプレーだと思われます。

 

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そしてこれはGKからCBへと繋ぎビルドアップを試みている山形に対し2トップと4MFでハイプレスにいっている場面です。

2トップはボールサイドの選手がボールホルダーに寄せていき、もう1人はアンカーの茂木へのパスコースを切りながら自分のサイドのCBへパスが出たら寄せにいきます。

この試合では後ろから繋ごうとする山形に対し水戸がハイプレスを仕掛ける場面が何度も訪れます。

また、右MFの黒川は左SBの松本を牽制していましたが、ボールが逆サイドへ行ったので中央へ絞ります。

 

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ボールが右のCBの栗山へ渡るとこのような状況になっており、栗山は前線へロングボールを蹴らぜるを得なくなります。

水戸はこの高い位置からのプレスによって山形にきれいなビルドアップをさせず、長いボールを蹴らせ、回収することで試合の主導権を握りました。

 

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この場面は水戸陣地からのクリアボールを山形がはじき返し、そのこぼれ球を水戸が収めようとしている場面です。

赤く丸が付いている選手は右MF の黒川。水戸の両サイドのMFは攻撃・守備のどちらの局面でもボールサイドへ大きく絞ることが特徴です。

このように両サイドのMFがボールサイドへ寄ることで攻撃の際には近くに選手がいるため短いパスで縦に速い攻撃を仕掛けることができ、ボールを奪われた際には選手間の距離感が近いことを利用し素早くプレッシングに行くことができます。

ちなみにこの場面では黒川がボールを足元に収めた後に一度後方の白井にボールを戻し、画面左端からオーバーラップしてくる右SBの浜崎に展開しています。水戸の選手が中央に集まっているので山形の選手もボールサイドに寄らざるを得ず、それにより大外にスペースができるのでサイドバックの選手が余裕をもって持ち上がることができます。

 

 

ミドルプレス

90分間ハイプレスをかけ続けることは体力的に難しいです。

そのため、ボールホルダーのCBをFW(主にバイアーノ)が牽制しつつサイドバックボランチに出るパスをスイッチに4MF+岸本の誰かがプレスをかけるミドルプレスで相手のボール保持に対応する時間帯もありました。

見ていた感じ4-4-1-1で対応する時とボランチのどちらかがアンカーのようにやや後ろ目の位置を取り、岸本が中盤に吸収される4-1-4-1、岸本も前線に残る4-4-2とパターンがあるように見えました。

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これは山形のサイドバックから中へのパスに岸本がプレスバックで対応する場面。

ラインは非常に高く保たれ陣形は縦にも横にもコンパクトになっています。CBの福井が相手選手のパスの質や受ける選手の体の向きなどを見てラインコントロールをしています。

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 この場面では小島がやや引いた位置、岸本が中盤に吸収されて4-1-4-1を作っています。

岸本が寄せにいくと岸本がいた位置へ小島がすっと入って4-4-2になります。

ブロックを作る組織的守備

ハイプレス・ミドルプレスもハマらず取り切れなかった場合などはリトリートして守備ブロックを作って守ります。

 この場面ではサイドへ開いた選手にボールが渡りますが、右SBの田向が時間を稼いでいる間に中盤の選手を含めてしっかりとポジションに戻ることができています。

PA内では人を見る守備で対応しPA外はゾーンで守っているように見えます。

ボールを持った選手に必ず1人が素早く寄せてプレッシャーをかけているため、山形にバックパスを選択させられています。

しかしこの場面では4-4のブロックに岸本まで引いてきているのにも関わらず、中を割られてシュートにいかれてしまっています。

ハイプレスを行うチームでもリードした後や試合終盤はリスクを冒さずラインを下げて守るチームが多いですが、今シーズンの水戸は試合終盤になってもあまりそういったことはせずに前からプレスにいっている印象です。ブロックを引いた際の守備の強度はあまり高くなさそうなのでそちらの方がよいのかもしれません。

 

ビルドアップ

今シーズンの水戸はボール保持には熱心ではありません。

”ハイプレス・ミドルプレスでボールを奪い、相手の守備陣が整う前に攻め切ってしまう”というのが一番の得点パターンなので、相手にボールを持っていてもらった方がありがたいとさえ思えてしまいます。

ゴールキックや自陣深くでのFKは基本的にラインを上げてからFWをめがけて蹴り、近くの選手に預けるということはめったにしません。

GKがボールを持った時にはパントキックで前線に大きく蹴るか、近くの選手の足元ではなくスペースにスローすることがほとんどです。

山形との試合では山形がプレスをあきらめてミドルプレスに移行し、相手選手が全員相手陣地にいるという場面が2~3度ありました。しかし”後ろで横パスを交換し、相手ブロックのズレを探し縦パスを入れる”といったことはせずにDFとGKの間のスペースをめがけて長いボールを入れています。

これは長谷部監督が後ろから短いパスをつなぎ手数をかけて崩すより、つながる可能性が低くても長いボールを最終ライン裏を狙い、跳ね返されてもそのボールへのトランジョンを狙った方が得点の可能性が高いと見ているのかなと思います。

またCBや中盤底の選手かなど中央の選手のボールロストからのカウンターを喰らうのを避ける目的もあるのではないでしょうか。おそらく同じ理由だと思いますが、短いパスを使って前進していく場面でもなるべく中央の選手・エリアは使わずにサイドからボールを前進させていきます。そのためCBからFWへの楔のパスもなかなか見ることはできません。

 

まとめ

完勝に近い試合で、開幕戦でありながら今シーズンベストゲーム候補の一つであるのは間違いないと思います。

ただ1週間で3試合をこなした4~6節で初黒星を含む1勝1敗1分けと振るわなかったことは疲労と関係ないとは思えないです。運動量が要求されるサッカーだけに疲労が蓄積してくる夏場から後半戦を乗り切れるのかは不安材料です。

次は勝てなかった千葉戦・横浜戦と完敗だった大分戦を見直したいと思います。

 初めてこのように試合を切り取って文章を書いたので拙い内容だと思いますがここまで読んでいただけたらうれしいです。