ジャギエルカは電気羊の夢をみるか?

ホーリーホックとスワローズ

第6節 vs横浜FC 過密日程の最後はローテンションなスコアレス

前節大分戦で今シーズン初の黒星を喫した我らが水戸ホーリーホック。9日で3試合をこなす過密日程の3試合目でもあるこのゲーム。

前節で負傷交代した田向に代えて右SBにCBが本職の伊藤槙、佐藤に代えて前節はベンチを外れた木村、得点を挙げた宮本に代えてバイアーノがスタメンに復帰、さらにここまでスタメンでの出場を続けていた黒川に代えて斎藤を起用。その斎藤とバイアーノで2トップを組み、これまでFWとして起用されていた岸本が右SHに入る4-4-2。

対する横浜は前節までは4-3-3だったのを中盤がダイヤモンドの4-3-1-2に変更して臨みます。

f:id:JGELK:20180331013513p:plain

 横浜の好守分業制のような守備・攻撃

横浜の守備時のフォーメーションは4-3-2-1のような形。前の3人(イバ、レアンドロ、戸島)は流れの中で深い位置まで戻ってくるということはあまりせずに、水戸のバックパスに対してプレスバックでボール奪取を試みるというのが守備の際のタスクになっているようでした。

「前線に残っていていいから攻撃の際には3人で基本的に完結させてね。」という感じでボールを奪い前線に預けた後にサイドバックセンターハーフの選手が追い越していく・高い位置を取るという動きはあまり見せず、7人で守り3人で攻める好守分業制のような形で前半を戦います。

守備の際には横は非常にコンパクトでしたが縦にはやや間延びしている印象でした。

f:id:JGELK:20180402035107p:plain

このスローインの場面ではレアンドロ含めた中盤の4選手がとてもコンパクトになっています。デブルイネがいればここからピンポイントのサイドチェンジをして大チャンス!となりますが水戸にはデブルイネも逆サイドに張る選手もいないのでそうはなりませんでした。

 

ポゼッションの際にはアンカーのぺスンジンを最終ラインに落として3バックを作る・2CBの脇に中里が落ちてくる・アンカーのぺスンジンとIHのどちらかと2CBでボックスビルドアップなどをしてきたのですが、横浜は無理して繋ごうとせずに簡単に前に蹴る・水戸がハイプレスにいかないとあってあまりその機会は多くありませんでした。

 

 

水戸の守備とポゼッション志向

水戸は過密日程の3戦目ということもあってかハイプレスをかけにいくシーンはかなり限られていました。(ボールを奪われた後に即時奪還を狙うプレスはそこそこあった)GKからのリスタートの際など思い出したようにプレスをかけにいってもGKも使ってプレス回避をされるので効果的でもありませんでした。そのためミドルプレスで守る時間が多かったです。この試合では4-4-2で守ることがほとんどで縦にも横にもコンパクトな守備陣形を作れていました。

サイドバックがあまり高い位置まで出てこない・前の3枚は中央ゾーンからあまり動かないということもあり水戸の最終ラインの4人は極端なほどに圧縮し、4CBのようになり横浜の強力な前の3人に人数をかけて対応します。この試合ではこの守り方がうまくいっていたと思います。

 

攻撃面では水戸は前半にこれまでにないほどのポゼッション志向を見せます。

2CBの間や脇に白井が落ちてきてボールを前進させていく場面が多くみられました。

いつものように簡単に長いボールを縦に入れなかった理由が分からなかったのですが推測できるのは

・横浜の前線からのプレスが非常にルーズで簡単に前進できた

・連戦の疲労で縦に蹴る→プレスで回収で押し込むのは難しいと考えた

あたりだと思います。

効果的だったのが左サイドからのボール保持からの攻撃。白井がCBからボールを預かり運ぶ→木村が右IHの渡辺を引き連れてパスを受ける右SB前のスペースを空けてそのスペースにジエゴがオーバーラップという形。この試合のジエゴは攻守に存在感がありました。

 

試合の流れ

ホームチームである水戸が序盤は攻勢に出ました。前述した様にこの試合ではボール保持から攻撃に加えていつものように高い位置でのゲーゲンプレスでの即時奪還からの縦に速い攻撃でゴールに迫ります。

6分のこの場面はサイズがあるジエゴの強みが出ていてとても好きなシーンです。決まっていれば…!という場面でした。この試合の水戸の両SBはヘディングが強く、それによって攻撃に厚みを加えていました。

7分には松井がクリアをキックミスし相手の足元にプレゼントしてしまうというミスがありハラハラさせます。足元の技術には不安を覚える松井ですがシュートストップは一級品。20分に両チーム通じてこの試合最大の得点機が訪れますがファインセーブ。得点を許しません。どうしてこんな簡単に裏をとられてしまったのかは映像ではわかりませんでした…

30分には水戸には珍しくサイドチェンジをします。

 大きく空いた逆サイドのスペースをうまく使えている場面なのですが、この場面くらいしかサイドチェンジをする場面は見られませんでした。慌ててDFラインから飛び出してくるサイドバックの姿を見るともっとこういう場面が見たかったです。この場面では結局簡単にアーリークロスを上げていますがサイドバックがDFラインから離れたことによってできたスペースを使ってみてもよかったのではと思います。解説の方も触れていましたがこの試合の水戸は簡単にアーリークロスを入れる場面が多く、攻撃に工夫を見ることがあまりできませんでした。相手に守備の陣形を作られた際にどうやって崩すか・点を取るのかというのは今シーズンの大きな課題になると思います。

お互い無得点のまま前半終了。

~後半~

後半になると横浜はやや攻撃的に出てきます。IHが攻撃に絡むシーンが多くなり左SBの武田もオーバーラップで高い位置に侵入することが増えてきます。左IHの中里がSBの位置に降りて武田を高い位置に送る動きは何度も見ることができました。また、前半は中央からの攻撃が多かった横浜ですがサイドにIHやFWが流れる場面も多くなり、そこを起点に水戸を深い位置へ押し込もうとしてきました。

そのような横浜の変化に加えFWの斎藤がプレスに行けなくなり、自陣に押し込まれる時間が増えてきます。前半のようにボール保持からの攻撃をすることもできなくなり相手DFラインの裏へ長いボールが攻撃の手段になっていきます。

54分には斎藤がDFライン裏へのボールに反応するもも飛び出してきたGKにクリアされ得点にはならず。60分にはバイアーノが自陣からのドリブルでPA内まで持ち込み、そこで倒されるも笛はならず…この試合は判定に泣かされる場面がここを含めて何度かありました。

67分に足が止まっていた斎藤に代えて宮本を投入。宮本の投入によって前線からプレッシャーをかけにいけるようになります。宮本の交代直後にはポジトラからハーフカウンターを仕掛けます。木村がサイドバックを釣って作ったスペースに小島がスプリントしてきて跳ね返されてしまうもクロスを上げます。木村の戦術眼と小島の運動量で作ったチャンス。ヨンアピンさえいなければ…というシーンもここ含めて何度かありました。

75分には細川が負傷交代。伊藤がCBに入り、代わって入った佐藤が右SBに入りました。これで開幕戦のDFラインが福井以外負傷…辛い時期が続きます。

横浜はアンカーのぺスンジンに代えて(おそらく)攻撃的なキャラクターの野村を投入。前半は守備が第一という印象だった横浜のIHに攻撃力のある選手が入り、攻撃の枚数を増やしてきます。それにより攻撃力は上がったもののDFラインの前のスペースで自由になれる時間が増え、水戸にもチャンスが増えていきます。

81分にはサイドチェンジから野村の中央へ運ぶドリブルでピンチを迎えます。

 野村の投入を契機に横浜のIHは攻撃時SHのように振る舞うようになります。これまでなかった幅を使われた攻撃であわや…となってしまいまいした。

85分には横浜のボール保持攻撃サイドへ流れたイバ→斜めにライン間に侵入してきたレアンドロ→サイドへ開いた野村からクロスとお手本のような攻撃を見せられてしまいますが中の選手に合わず難を逃れます。

86分にバイアーノに代えて伊藤涼太郎を投入。

 87分には交代直後の伊藤がサイドへ流れて機転を作りニアゾーンへ侵入した小島が決定機。この試合は左サイドからの攻撃が多かったです。というのもタメ・違いの作れる木村の存在が大きいからだとおもいます。逆に右サイドの岸本は存在感が薄い試合になってしまいました。

 90分にはロングスローのこぼれ球を拾われカウンターを喰らいますが佐藤のナイスタックルに救われます。

結局両チームとも得点は奪えずスコアレスドローで試合は終了。

 

まとめ

両チームとも過密日程の最後の試合だったということもあり、全体的に見るとハイインティンシティとは遠くかけ離れたローテンションでやや退屈な試合でした。

PA内・付近で倒されることが何度かあり、審判が笛を吹いてくれたらまた違った展開だったかも…とは思ってしまいます。

過密日程の3試合は1勝1分け1敗で切り抜けたものの怪我人は試合をこなすごとに増えており、苦しい時期は続きそうです。

攻撃に変化をつけられる選手が木村しかいない・守備ブロックを組んだ相手をどう攻略するかなど攻撃面での課題が多く見えた試合でした。